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ストーンシップ ~航海日誌~1週目

ストーンシップ、航海日誌 1周目

皆さん初めまして、新しく始まりました岩舟屋の隔週企画。

「ストーンシップ、航海日誌」の書記を務めますTOSHIと申します。

この航海日誌では、当店の商品に関するちょっと気になるところや、商店街の小話などをゆらゆらと書いていければと思います。

さて、記念すべき第1週目の今回は、腕時計バンドの「革」、その中でも高価なものというイメージが強い「ワニ革」をメインに航海を進めていきます!

(・_・)o0(個人的に調べていることなので、足りないところ等あるかと思いますが、温かい目で気軽に読んでいただけたら幸いです)

今回の航海では、「ワニ革」がなぜ高級なのか?

どうすれば、いい革を長持ちさせられるのかを知っていただければと思います・・・

腕時計のバンドと呼ばれる部分には、金属(ステンレス・金・プラチナなど)・革・シリコン・セラミックスのような一般的なものから、少し風変わりなところで、木・竹・紐・木の葉っぱを編んだものなどがあります。

少し前に話題になった河野大臣の時計は竹でできていましたね。

アトピーが出にくい、とても軽いなど、注目を集めている竹時計、なかなかに興味をそそられます。

(今後の日誌にできればいいかなと・・・)

少し航路(話題)がそれましたね。

本来の目的であるワニ革に戻していきましょう。

時計に使われるワニ革、通常に流通しているのは

クロコダイル科の「イリエワニ」「ニューギニアワニ」「ナイルワニ」「シャムワニ」

アリゲーター科の「ミシシッピワニ」「カイマンワニ」

その中で最高級と呼ばれるのがスモールクロコといわれる「イリエワニ」に一種です。

←こやつが

「イリエワニ」

インドからベトナムにかけてのアジア大陸やオーストラリアに生息し、日本でも目撃例があるイリエワニ。

皮としての輸入は主に東南アジアの諸国(インドネシア、パプアニューギニア、タイ、ニュージーランドなど)が中心となっています。

ラグビーワールドカップで日本でも一躍有名になった、「ハカ」が代表的なニュージーランドもイリエワニの生息地です。

日本では恩賜上野動物園(東京)・熱川バナナワニ園(静岡)・愛媛県立とべ動物園などの動物園等でイリエワニを見る事が出来ます。

生息範囲が比較的に広いイリエワニですが、1940~1960年代後半にかけて乱獲されたため、一時は絶滅の危機にさらされることもありました。

今では、養殖で育てられるワニも増え世界で使用されるワニ皮の9割は養殖されたワニからとれるといわれています。

一番多く取られるのがミシシッピワニで、イリエワニは5番目くらいになります。

イリエワニはワシントン条約に指定されているため、野生のものを製品にする目的で狩猟することはできません。

(一部増えすぎたり、人に害を及ぼす場合のみ許可を得たハンターが狩猟することはあるようです)

養殖も、養殖業者の絶対数が多くはないため年間で生産できる革の総量は世界全体で消費するには希少と呼ばれるほどしかありません。

これは私も驚いたのですが、日本でもワニの養殖を行っているのだとか・・・

(イリエワニではないとのこと)

ワニと共に生活するというのはどういった感じなのでしょうか。

少し興味はありますが、私は確実にかまれる気がします。

ワニ革の話をするはずが、ワニの話しかしていないですね・・・

では、気を取り直して皮の話にしていきましょう。

革について話をするうえで逃すことのできないものがあります。

(ここからまた少し話が脱線します)

それは、皮の加工職人である「タンナー」と呼ばれる方々です。

(今は個人を指すのではなく、皮を加工する会社自体をタンナーと飛ぶことが多いようです)

ワニ革が高級なのはワニ自体の希少性と、加工する工程で高度な専門技術を要するからです。

東南アジアの諸国でとられた「ワニ皮」を私たちが使う「ワニ革」に加工するにはいくつもの工程を経ねばなりません。

1つ1つが繊細な作業な為、一部のセレブな方々や有名ブランドは「このタンナーじゃなければだめだ」と指名されることもあるのだとか・・・

このタンナーと呼ばれる革加工を行える会社、多く出回っている牛革を取り扱うタンナーは世界に数千社あるといわれていますが、クロコ(ワニ)の皮を扱えるタンナーは世界でも50社に満たない数しかありません。

日本にも5~7社ほどワニの皮を扱うタンナーがあります。

(日本タンナー協会HPにて日本にあるタンナーを調べる事が出来ますよ)

日本にあるタンナーは主に、東京・草加・和歌山・姫路を拠点としているところが多く、国内外から仕入れた様々な皮を加工しています。

動物からはがされた皮は24~30程の工程をへて一般に使用される革製品になっていきます。

大まかには、洗浄し汚れを落とした後、皮を表面と裏面に裁断します。

なめし作業を行い革に柔軟性と耐久性を加えます。

その後プレス等で余計な水分を取り、乾燥させます。

革の厚さを加工するときに使いやすくするため、均等にするシェービングという工程を行います。(クロコの皮の場合は、この厚みの調整がほかの皮に比べ皮に凹凸があるために難しく、職人の技術力が必要になるといわれます。)

形を整えた皮は最後に塗装され、光沢や色合い、柄や耐久性などで分類されます。

以上のような工程を経て「皮」は「革」に加工されていきます。

ちなみに、皮と革の違いは動物からとったままの素の状態のものを「皮」、毛を抜いて乾燥させるなどの加工がされた後の状態のものを「革」と呼びます。

なので、居酒屋などである焼き鳥のカワは「皮」で、時計のベルトなどは「革」となります。

←これは「皮」!

(おいしそう)

タンナーの作業にとって製品として使うことのできる素材に生まれ変わります。

料理でも、下ごしらえで味が大きく変化するのと同じように、このタンナーの技術なければ質のいい革製品を生み出すことはできません。

これでやっと、時計のバンドの素となる革が出来上がりましたね!

脱線に脱線を重ね、ようやくここまでたどり着いた感じですが・・・

次は、出来上がった皮をバンドに加工していく工程を追っていきましょう。

タンナーの手によって出来上がった革を、革バンドを作成するメーカーが仕入れ革バンドへと加工していきます。

日本にも革バンドを製作するバンドメーカーがあります。

有名なところでは「BAMBI」「BEAR」などや、「knot」(こちらは時計ブランドでもあり、カスタムできるバンドを売り出しています)等が皆さんの耳にも届くところではないでしょうか。

また、時計の革バンドは町の革小物を扱っているお店でも売られていることがあります。

規格品ではないことが多いので、自分の時計に合うバンドを見つけることはなかなか難しいかと思いますが、オーダーメイドで作ってもらうのも楽しいかもしれませんね。

時計店で取り扱いのある革バンドは基本的に、規格に合わせたものとなるので気軽にバンドが壊れたからと持ち込んでも対応してくれます。

(当店も、幅広い規格のものを取り揃えておりますので、お気軽にどうぞ!)

さて、時計の革ベルトと一口に言っても、大まかに「ヘリ返し仕立て」、「半ヘリ返し仕立て」、「フランス仕立て」、「切り目仕立て」の4種類の仕立て方があります。

この仕立て方によって、値段や付け心地に大きく差が出てくるのです。

時計のバンド作りにおいて一番高級な商品に使われる仕立て方が「ヘリ返し仕立て」です。

ヘリ返し仕立てとは、「芯材」をメインになる「素材(革)」で包み、腕に当たる裏側部分に「裏材」と呼ばれるカーフの革をあて肌あたりをよく仕上げる仕立て方です。

このヘリ返し仕立ては、ほかの仕立てに比べ芯材をメインの皮で包み込むため、メインの皮を1.5倍ほど使用します。

心材を包むことにより、耐久性が増し、また見た目も心材や裏材が見えずにクロコの革のみで出来ている様に見えるため、高級感も増します。

時計に使われるクロコの革は、ワニのお腹の部分を使うのですが、その中でも中心部である比較的模様が大きく、均一な竹斑(たけふ)と呼ばれる部分を使用したものが最高級とされています。

この竹斑の部位は、筋にそって折り曲げないとヒビが入ったり、裂けてしまうためとても扱いが難しく、また剣先と呼ばれるバンドの先端に向けて少しずつ細くなっている部分の仕立ては、少しでもズレが生じると裏材にゆがみが出てしまうため繊細な作業となります。

さらに、この革の形成がうまくいっても、その後の糸による縫い合わせ作業では、しっかりと固定されなおかつ皮を傷めない力加減で縫合する必要があり、1つ1つの作業が気の抜けないものとなっています。

このようにクロコの革を時計のバンドに仕立てるには、熟練の技術が必要となります。

今まで説明してきました、素材であるクロコの希少性、タンナーによる素材の加工技術、革細工師による繊細な仕立ての技術、このすべてがそろって初めて腕時計の美しいクロコダイルのバンドが出来上がるのです。

ゆえに、高級品となると考えて頂ければその価値にも納得していただけるかと

長い航海も、もうすこしです。

最後に、革バンドを使っていく上での気をつけたいことを確認していきたいと思います。

これだけの手間と技術が詰まったクロコバンド、できるだけ長く大事に使いたいですよね。

ですが、腕時計のバンドは「消耗品」です。

これは、毎日の使用で汗や汚れがたまったり、経年によりほつれや裂けがどうしても生じてしまうため、必ず交換する必要がでてくるからです。

ボロボロの状態の革バンドは、いつ外れたり裂けたりして時計を落としたりしてもおかしくありませんし、時計自体にも錆などを生じさせる原因になる可能性があるので、早めの交換が必要です。

長く棚の中などにしまい込んでいると、カビが生えることも少なくありません。

ですが、日々の手入れを少ししてあげるだけで見た目だけでなく、そのバンドの寿命も伸ばす事が出来ます。

時計のバンドが痛む原因は主に汗・汚れ・水といわれています。

蓄積した汚れや汗が腐食やカビの原因になり、水にぬれた後に放置したりするとひび割れを引き起こします。

このような状態を防ぐために、以下の4点を覚えておくだけで大きく革バンドの寿命が変わるといわれています。

濡れた革は、ドライヤーで乾かしてはいけない。

では、どうすればいいのかというと。

濡れた革は「自然乾燥」をお勧めします。

びちょびちょになってしまった時などは、乾いた布である程度水気を取り除いた後、太陽が直接当たらない風通しの良い場所で、自然乾燥させます。

ものが濡れた時、早く乾かすためにドライヤーを使用する人は多いと思います。

確かに、時計本体などは「水没時には、すぐにドライヤーで乾かしてください」と説明書きに書いてあったりしますよね。

ですが、時計のバンドにドライヤーの風を直接当ててしまうと、乾燥した熱風により革が急激に収縮してしまい、革の組織がそのふり幅に耐えられず壊れてしまいます。

また、革のコーティングや染料にもダメージを与え変色等の原因にもなりかねません。

バンドのためには、少し時間はかかりますが自然乾燥をお勧めします。

汚れはなるべく乾いたやわらかい布で、優しくふき取る。

水分はあまり皮にとっていいものではないので、なるべく乾いた布を使いふき取ります。

この時、ざらついた布でこすってしまうとコーティングをはいでしまったり、傷をつけてしまうことがあります。

また、力強くこすってしまうと汚れが余計に革の中に浸透してしまい、逆に皮を傷めてしまうこともあります。

汚れがひどいときは、水に濡らした後しっかりと絞った布で汚れた部分をふき取り、その後乾いた布で水気を取り、数時間自然乾燥させます。

バンドをぎちぎちの状態では使わず、少し余裕をもって止める。

腕時計を使用する時、時計が動かないようにキツくバンドを締めているという方をよくみます。

腕時計のバンドがきつく締まっている状態というのは、バンドに大きな負荷がかかっている状態となります。

時計のバンドを止める穴の部分の伸びや裂け、クロコバンドでは腑(ふ)と呼ばれる革の模様の筋目が裂けてしまう原因となります。

基本的には装着した状態で、バンドと腕の間に人差し指が入るくらいの余裕がある状態がベストといわれています。

直射日光の当たる場所に長く置かない。

腕時計に使われるクロコの皮は紫外線の影響を受け変色することがあります。

これは、革のなめしに使われるタンニンや革の中にある油脂が酸化することで、色が濃くなってしまうためです。

家に帰り、時計を外した後、窓辺に置いておくなどすると直射日光にさらされ劣化や変色してしまう原因となります。

最近ですと、ソーラー充電(光発電)の時計に革バンドをつける方も増えていることもあり、太陽光に当てなければならない状態のものもあります。

そのような場合は、ハンカチや布なのでベルトの部分に直接光が当たらないようにするなどのひと手間があれば、バンドへのダメージを大きく軽減する事が出来ます。

これらのことをすべて毎日行うことはできませんが、頭の片隅において、普段の生活で時計の保存場所を意識してみたり、汚れた時に優しく拭いてあげたり。

読んで頂いた皆様のバンドが少しでも長持ちすれば、幸いです。

岩舟屋定期企画、「ストーンシップ航海日誌 1週目」楽しんでいただけたでしょうか?

これから、少しずつですが皆さんの話のネタになるような話題を提供できたらと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

では、今回はこの辺で・・・

次の航海まで、しばしお待ちください。

                                                                      ストーンシップ号書記・・・TOSHI